日本公共政策学会

研究大会・フォーラム

「2013年度 第17回研究大会」

テーマ

「公共政策の過去、現在、未来――被災・喪失から復興・創造へ」

日時および会場  
2013年6月1日(土)~2日(日)
コラッセふくしま(福島市)<JR福島駅西口から徒歩3分>
  ※非会員の大会参加費 (会場費負担金)1000円

開催趣旨

過去を振り返り、現状を評価し、未来を想う:福島大会に期待する事

2013年度研究大会企画委員長 小澤太郎


 東北、北関東が未曾有の大災害に見舞われてから2年以上が経過しました。特に福島県では、震災・大津波に起因する福島第一原発の事故の結果、今も尚、ふるさとに戻る事が叶わない多くの住民の方々がいらっしゃいます。今年度の研究大会は、この福島の地(コラッセふくしま)で、6月1日(土)・2日(日)に開催されます。

 大会全体の共通テーマは「公共政策の過去、現在、未来 ― 被災・喪失から復興・創造へ ―」です。まさに2年が経ち、福島県さらには被災した東北地方を中心とした地域の復興の現状はいかなるもので、また将来展望をどう描いたら良いのかを、会員の皆様方と共に考えたいという強い思いが、当然の事ながら込められております。しかし、それだけに留まらず、福島の地で起きた、或いは現在起きつつある出来事は、今の日本を象徴しているとは考えられないでしょうか。被災による影響を最小化する備えは、事前に十分だったのでしょうか。被災後、直ちに復旧の為の十分な手立てが講じられたのでしょうか。復興のプランは単に復元するといった類のものではなく、長期的な展望に立った戦略性の高いものなのでしょうか。こうした諸々の疑問は、一般性を失う事なく、失われた20年、民主党による政権交代と自民党の復権を経験した今の日本社会全体を考える上でも、我々が真摯に対峙すべき設問の形式を備えている様に思えてなりません。即ち、失われた20年における後退をより軽微なものにできなかったのでしょうか。政権交代を果たした民主党には一体何が欠けていたのでしょうか。アベノミクスによるデフレ脱却が仮に可能であるとして、単にデフレから脱却できればそれで良いのでしょうか。

 以上の観点から、先ず初日の共通テーマⅠ「民主党政権を振り返って:その意義と限界」により過去を総括した上で、二日目の共通テーマⅡ「福島の復興にむけて:政策課題と展望」において、“福島の今”についての現状把握と復興に向けての将来展望が描かれます。また5つのテーマセッションでは、「公共政策学の新しい教育研修手法」、「危機管理におけるこれからのCCP(地域の持続可能計画)」、「エネルギー・環境政策をめぐる国民的議論のあり方」、「議会・立法に関するICTの活用」、「政策系学部・大学院のカリキュラムを考える」を扱いますが、何れも鋭い問題意識に支えられた未来志向のテーマと申せましょう。まさに会員の皆様に、公共政策の過去、現在、未来を適宜往復して頂く趣向となっております。

 さらに今回嬉しい事に、若手報告セッションに20名もの応募がありました。また自由公募セッションにつきましても、意欲的な3つのパネル企画と6名の応募がありました。司会、討論者をお引受け頂いた方々も含めまして、是非研究大会を盛り上げて頂ければ幸いに存じます。それでは福島で多数の会員の皆様とお会いできますのを、今から心待ちにしております。

大会案内・レジュメ、予稿集

2013年度研究大会実行委員長 今井 照

→ 大会案内・レジュメ集はこちら
→一日目の各プログラムの予稿集はこちら
→二日目の各プログラムの予稿集はこちら
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大会プログラム

第1日目 6月1日(土)

09:30 受付開始(3階企画展示室)


09:50~10:50 若手報告セッション

若手報告セッションⅠ「情報通信」

司会:奥井克美(追手門学院大学)

報告者:岡野内俊子(横浜国立大学)

「一般用医薬品のインターネット販売規制の現状と課題」

光山奈保子(早稲田大学)

「アンバンドル規制によるブロードバンド事業者の投資への影響に関する日米比較-比較制度分析に基づく類型化とゲーム理論モデルによる因果メカニズムの説明-」


若手報告セッションⅡ「政策過程」

司会:西出順郎(岩手県立大学)

報告者:田中富雄(龍谷大学)

「自治基本条例制定の阻害要因と促進要因としてみた政策終了」

加納知行(慶應義塾大学)

「都市計画をめぐる政策の内容分析と政策過程」


若手報告セッションⅢ「非営利組織」

司会:上山信一(慶應義塾大学)

報告者:島岡未来子(早稲田大学)

「非営利組織経営におけるステークホルダー理論の構築―「SMCモデル」の構築とNPO法人を対象とした実証研究結果―」


若手報告セッションⅣ「監査・財務」

司会:矢口和宏(東北文化学園大学)

報告者:橋本圭多(同志社大学)

「監査社会を問う――社会的責任の管理主義的転回――」

熊本伸介(豊中市政策企画部とよなか都市創造研究所)

「東京都区の財務分析」



11:00~13:00 テーマセッション&自由公募セッション

テーマセッションⅠ「公共政策学の新しい教育研修手法」

司会:窪田好男(京都府立大学)

報告者:青山公三 (京都府立大学)

「地域課題解決型実践政策研修プログラム 「キャップストーン」の試み」

村田和代(龍谷大学)

「公共政策形成プロセスに必要な話し合い能力育成プログラムについて」

永田尚三(関西大学)

「公共政策学教育における政策ディベートの必要性」

討論者:宮脇 昇(立命館大学)


テーマセッションⅡ「危機管理におけるこれからのCCP(地域の持続可能計画)」

司会:市川宏雄(明治大学)

報告者:砂金祐年(常盤大学)

鈴木秀洋(文京区 危機管理課長)

千田 良(㈱ノルメカエイシア 代表取締役社長)

討論者:鈴木潔(聖学院大学)


テーマセッションⅢ「エネルギー・環境政策をめぐる国民的議論のあり方」

司会:鈴木達治郎(内閣府原子力委員会 委員長代理)

報告者:宮城崇志(上智大学)

「二項対立下での政策過程――3.11後の革新的エネルギー・環境戦略を事例として――」

山本達也(清泉女子大学)

「ソーシャルメディア時代における「科学の政治化」と民主主義」

柳瀬 昇(日本大学)

「国民的議論に基づく政策決定の意義と限界~討論型世論調査がエネルギー・環境政策へ与えた影響を中心として」


自由公募セッションⅠ「パネル企画:情報社会の政策形成――オープンガバメント/オープンデータは日本の公共政策にどのような影響を及ぼすか」

司会(兼 報告者):西田亮介(立命館大学)

報告者:松原真倫(慶應義塾大学)

山口 翔(立命館大学)

生貝直人(情報・システム研究機構 新領域融合研究センター )

討論者:庄司昌彦(国際大学GLOCOM)


自由公募セッションⅡ「財政・地方自治」

司会:長峯純一(関西学院大学)

報告者:萱沼美香(九州産業大学)

「年金支給開始年齢引き上げに関する研究」

小田切康彦(同志社大学)

「ローカル・ガバナンスにおける参加とそのパフォーマンス評価-京都市の事例から-」

市島宗典(中京大学)

「「三位一体の改革」前後における市町村財政の変容-福島県をケースとして-」

討論者:湯之上英雄(兵庫県立大学)


13:00~14:00 昼休み(13:00~13:50 理事会)


14:00~16:30 共通テーマ

共通テーマⅠ「民主党政権を振り返る:その意義と限界」

コーディネータ:新川達郎(同志社大学)

パネリスト:後 房雄(名古屋大学)

曽根泰教(慶應義塾大学)

竹中平蔵(慶應義塾大学)

松井孝治(参議院議員)


16:40~17:20 総会

18:00~20:00 授賞式・懇親会


第2日目 6月2日(日)

09:20~10:50 若手報告セッション

若手報告セッションⅤ「公共事業・地域開発」

司会:白石克孝(龍谷大学)

報告者:小林大祐(中央大学)

「地域交通組織の形成要因:ドイツの連携組織を手がかりとして」

田畑琢己(埼玉県庁)

「費用効果分析に対する裁量統制の限界 -公共事業の経済的合理性の研究」

林 昌宏(日本学術振興会特別研究員(PD))

「公共投資をめぐる中間自治体の競合とその影響 -大阪湾ベイエリア開発を中心に-」




若手報告セッションⅥ「政権と財政」

司会:名取良太(関西大学)

報告者:村岡浩次(早稲田大学)

「新政権における公共事業入札方式の考察」

豊福実紀(東京大学)

「増税・減税の政治的要因:日本の政党は租税政策をめぐって対峙したのか?」

梶原 晶(神戸大学)

「政権党と地方財政―地方財政計画の策定に影響を与えた政治的要因の検証」


若手報告セッションⅦ「官僚制」

司会:武蔵勝宏(同志社大学)

報告者:小田勇樹(慶應義塾大学)

「イギリス上級公務員における人事政策の変化と組織の業績―外部組織での職業経験と業績に関する実証分析―」

一瀬敏弘(神戸大学)

「地方公務員における昇進構造:警察官の人事・給与データに基づく実証分析」

関 智弘(神戸大学)

「組織人としてのケースワーカー:ストリートレベルの官僚制の再検討」


若手報告セッションⅧ「環境問題」

司会:佐野 亘(京都大学)

報告者:小林 貴(中央大学)

「地方分権に伴う自治体の規制影響評価の現状~ディーゼル車運行規制条例を事例に~」

尾形清一(名古屋大学)

「再生可能エネルギーの社会的受容性と政策課題」

呂 茜(関西学院大学)

「歴史的環境保全制度に関する日中比較」


11:00~13:00 テーマセッション&自由公募セッション

テーマセッションⅣ「議会・立法に関するICTの活用」

司会:増山幹高(慶應義塾大学)

報告者:木下健(同志社大学)

「議会・立法に関するICTを活用した党首討論分析」

石橋章市朗(関西大学)

「ICTを用いた国会活動の情報発信行動の分析」

松浦淳介(慶應義塾大学)

「東日本大震災の発生と国会政治―映像資料をもちいた与野党の態度分析」

討論者:竹田香織(政策研究大学院大学)


テーマセッションⅤ「政策系学部・大学院のカリキュラムを考える」

司会:窪田好男(京都府立大学)

討論者:新川達郎(同志社大学)

白石克孝(龍谷大学)

楢原真二(北九州市立大学)

宮脇 昇(立命館大学)


自由公募セッションⅢ「パネル企画:エネルギー・システムのあるべきトランジションに関する政策論・ガバナンス論――より持続可能で、よりレジリアントな変革に向け、何をどうガバンできるのか――」

司会:半藤逸樹(総合地球環境学研究所)

報告者:木下裕介(大阪大学)

「コミュニティを対象とした社会・エネルギーシステムのバックキャスティングシナリオ」

吉澤 剛(大阪大学)

「レジリアンス論をエネルギーガバナンスから問い直す」

山下紀明(環境エネルギー政策研究所)

「分散型エネルギーシステムへの移行における自治体エネルギー政策過程の課題と可能性」

青木一益(富山大学)

「システム・トランジションにおける重層的視座(MLP)の制約と可能性」

討論者:上田 誠(同志社大学)

佐野 亘(京都大学)

鎗目 雅(東京大学)


自由公募セッションⅣ「パネル企画:政策過程の相互作用性に着目した基礎自治体ガバナンスの把握の多様性」

司会:松井望(首都大学東京)

報告者:荒見玲子(東京大学)

「第一線公務員への接触の政治的効果―要介護認定者の家族サーベイを用いた傾向スコア・ウェイティング法による因果効果の分析―」

金 今善(せたがや自治政策研究所)

「公共紛争における相互協力的紛争管理の可能性と限界:一般廃棄物処理施設の立地をめぐる紛争を題材に-」

箕輪允智(東京大学)

「戦後日本における自治体の発展・衰退と政策指向性の分岐」

討論者:曽我謙悟(神戸大学)


自由公募セッションⅤ「防災まちづくり・ハザード情報」

司会:松原聡(東洋大学)

報告者:黒澤 之(中央大学)

「来街者を意識した地震災害ハザード情報と防災まちづくりに関する研究」

鹿島 茂(中央大学)

「防災施設評価への住宅価格仮想評価法の適用可能性」

福本博之(一般財団法人日本防火・危機管理促進協会)

「地域の防災活動における組織間の連携と地方自治体の課題」


13:00~14:00 昼休み


14:00~16:00 共通テーマ

共通テーマⅡ「福島の復興にむけて:政策課題と展望」

コーディネータ:御厨 貴(放送大学)

パネリスト:飯尾 潤(政策研究大学院大学)

内堀雅雄(福島県 副知事)

中井勝己(福島大学)

峰久幸義(復興庁福島再生総局 事務局長)







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